ごあいさつ

  • 代表取締役社長 橋本 せつ子

2023年は新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に移行したことにより、社会・経済活動の正常化が一段と進み、インバウンド需要の回復などにより、緩やかな景気回復が続きました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東地域の地政学リスクの高まり、原材料・エネルギー価格の高止まりによる世界的なインフレの進行など、わが国経済を取り巻く世界情勢は、依然として厳しい状況が続いており、予断を許さない状況が続いております。

2023年の事業年度において細胞培養器材事業では器材製品の拡販に向けた積極的な販売促進活動の結果、特に海外売り上げが大幅に増加し、過去最高の売り上げを達成することができました。また、再生医療受託事業も先進医療に用いられる自己軟骨細胞シートの製造受託などにより過去最高の売り上げを達成することができました。

同種軟骨細胞シートの開発においては、東海大学での臨床研究の成果をもとに開発を進めています。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けながら同種軟骨細胞シートを製造するための原料として有効性と安全性を確認したマスターセルバンクを確立することができました。2023年9月20日に同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の第3相試験の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、開発が大きく進みました。現在、各治験実施施設での倫理審査、治験実施契約の締結を進めておりますが、手続きに時間を要しており、現時点では2024年の上半期中に被験者登録が始まる見通しです。

2023年11月には第3回細胞シート工学イノベーションフォーラムを開催いたしました。4年ぶりの対面開催となり、全国から多くの研究者や企業の方々にご参加を賜り、細胞シートを用いた新しい研究の萌芽が発表されました。

今後も、再生医療の一日も早い実現、事業化に向けて引き続き努力を続けていく所存です。

橋本 せつ子